女性医師部会 性暴力被害者のための
「ワンストップ支援センター」
設立に向けて県知事等に「要望書」を提出

 ワンストップ支援センターとは、性被害を受けた方の、警察 への被害届・病院での診察・カウンセリングなどを1か所で受け止めて支援するためのセンターのことで、これまで全国的にモデル事業が行われ、各県に設置することが推奨されています。熊本県でも今年6月の設置に向けて準備が進められているところですが、女性医師部会では、女性弁護士とともにワンストップ支援センターをテーマとしたグループワークをおこない、そこで出された意見を「要望書」にまとめて、昨年12月、熊本県保険医協会女性医師部会・熊本県女性弁護士の会と連名で県知事・県警本部長・県議会議長に提出しましたので、以下概要を報告します。


 要望書提出当日は、県環境生活部県民生活局長・県警本部長・議会事務局と一定の懇談を行い申し入れができました。終了後は県庁記者室で記者会見を行いました。この行動には、仕事の合間をぬって池田景子副部会長・吉良直子副部会長・板井が、女性弁護士3人とともに参加しました。
 要望は、@365日24時間対応の支援体制、Aスタッフ体制の充実、B親しみやすい名称と周
  県民生活局長(左手前)との懇談の様子 知、Cそれを可能にする予算措置の4項目にまとめました。被害者のために他県に先駆けてモデルとなるような支援センターの設置を要望し、その実現のために、私たちも支援の一翼を担う所存であることを表明しています。要望書全文はこちらに掲載されていますのでご覧いただければと思います。
 その後3月の県議会で一定の予算が確定し、365日24時間を面談や電話対応が可能な体制で6月稼働を目指して準備が進んでいるとのことです。
 女性医師部会では、10年以上「性」に関する取り組みを継続してきました。それは、「性教育」に携わる部員の話を伺う中で、私たち自身が「性」について語る言葉を十分に持っていないことに気づかされ、学んでいきたいという思いが基本になっています。また当時の高校生へのアンケートで「女性医師から話を聞きたい」との要望が多かったことが印象的で、このテーマに取り組むことが女性医師の社会的使命(ミッション)と考えたからです。今回の要望者作成と提出の行動を通じて、この間の取り組みを一歩前進させることができたのではないかと感じています。
 性暴力被害は「魂の殺人」ともいわれ、長年にわたって癒えることのない苦悩を本人・家族が背負ってしまいます。その苦悩を可能な限り少なくするために「ワンストップ支援センター」が実質的に機能するように、これからも情報を収集しながら、この問題に関心を寄せるいろいろな分野の方々と連携を広げ、社会的な発信を続けていきたいと思っています。大切なテーマでありながら、公に語られることが少ないこともあり、さまざまな意見があることも承知しています。可能な限りの情報提供をしながら取り組んでいきたいと考えていますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
副会長 板井 八重子(女性医師部会長)