子どもの慢性疲労症候群
 近年、子どもたちの学力低下のみならず、生命力の低下さえもが心配され始めています。キレる子ども、不登校、ニートなど、いわゆる子どもの問題が社会問題としてとりあげられるようになっています。ストレスの多い現代社会に生きる私たちの中で、慢性疲労に悩んでいる人は多いのですが、この疲労は子どもたちにとっても、身近な問題となっています。
 しかしながら十数年前までは、不登校に陥った若者たちは、様々な神経症状を持っているにも関わらず、医学的な検討はないがしろにされてきました。子どもたちは、慢性疲労症候群(CFS)にきわめて似た症状を持っていても、学校に行けなくなると、「学校嫌い」という情緒的なレッテルが貼られてきました。
 その後、厚生労働科学研究班の発足により、小児期に発症する慢性疲労症候群(CFS)と成人型とを区別する意味で小児型慢性疲労症候群(CCFS)と呼ぶようになり、小児の症状による診断基準や疲労の程度を評価する指標が作成されました。 症状が軽いうちに確実に診断し、早期に対応することによって「引きこもり」にいたる重症の小児慢性疲労症候群(CCFS)に陥ることを未然に防ぐ意味を込めて、診断基準や指標は制定されています。
 学校に行きたい気持ちとは裏腹にどうしても登校できない、いわゆる不登校児は年々増え続け、平成21年度の文部科学省の調査では、全国で12万2千432人が不登校状態と報告されています。以前なら疲労困憊した若者たちに対して、簡単に「こころの問題」「家庭の子育ての問題」「生き方の選択」など、科学的根拠に乏しい解釈がなされていましたが、今やそういった考えでは済まされない時代になりつつあります。
 ご心配な方は、かかりつけの小児科医にご相談下さい。
小児型慢性疲労症候群国際基準による診断と重症度
T.診断
  • 小児ME/CFS
  • 小児ME/CFS様症状(古典的症状が全てそろうが期間が3カ月以内)
  • 非定形小児ME/CFS(古典的症状を1つ満たさないがその他の症状は期間が3カ月以上持続している)
  • 小児ME/CFS以外の診断
U.重症度と寛解
  • 最軽度(登校可能。診断をちょうど満たす程度。)
  • 軽度(おそらく登校可能。診断のいくらかの症状存在。)
  • 中等度
  • 重度(しばしば引きこもり、終日就床。)
  • 部分寛解(登校可能。過去には診断基準を満たしていたが、現時点ではいくつかの症状を残すのみである。)
  • 完全寛解(登校可能。症状は存在しない。)
小児型慢性疲労症候群国際基準
T.臨床的検討により説明困難な、持続的あるいは再発性の過去3カ月以上にわたる疲労であり下記の条件を満たすもの。
  1. 進行中の労作の結果ではない。
  2. 安静によって実質的に軽減されない。
  3. 結果として教育的、社会的および個人の活動が以前のレベルに比べて相当な減少がある。
  4. 少なくとも3カ月の間、持続あるいは再発する。
U.下記に示すME/CFSにおける古典的な症状が過去3カ月間において同時並行的に認められる。(症状はおそらく疲労の発症に先だって認められる。)
A.労作後倦怠感・労作後疲労特に激しい労作ということではなく、階段を上る、コンピューターを使う、本を読むなどの行為の中で、急速な身体疲労や認知力の疲労、労作後疲労、あるいはほかの症状が悪化するなど。回復が遅くしばしば24時間以上を要する。
B.睡眠障害疲労を回復できない睡眠、睡眠量及びリズム(質)の障害。過眠型睡眠障害(頻回の昼寝を含む)や入眠困難、早朝覚醒あるいは昼夜逆転。
C.疲労しばしば広範囲にわたる移動する疼痛(または不快感)。以下のいずれかからの少なくとも1つの症状を有する。
  • 筋膜および/または間接疼痛(筋膜疼痛は、深部痛、筋収縮または、うずきおよび痛む筋肉を含む。疼痛、こわばりまたは痛みに対する過敏性は、どんな関節にでもさらに複数の関節で起こる可能性があるが、浮腫または炎症の他の徴候がない場合もある。)
  • 腹痛
  • 頭痛(目の痛み、眩しさ、胃痛、嘔気、嘔吐または胸の痛みなどが伴うかもしれない。頭痛はしばしば、眼後方に、または、頭部の後ろに局在したり、片頭痛を含む。)
D.神経認識徴候以下の項目の中から少なくとも2つの症状
  • 記憶障害(短期に関する上表または、イベントを思い出す能力の自己申告であるか観察可能な障害)
  • 問題点を絞り込む能力(焦点化)の低下(作業を持続するための集中力、教室内での必要なあるいは不必要な情報の選択を行うこと、あるいは読むことやコンピュータ作業、テレビ番組に集中する能力が低下している可能性がある。)
  • 的確な単語を見つけ出すことが困難。
  • しばしば、何が言いたかったかについて忘れる。
  • 関心のなさ、思考の鈍磨、情報を思い出せない、一度に1つのものにしか集中できない。よくないことが頭に浮かぶ。情報理解困難、思案の連続性を失う、数学または他の教育問題の困難性。
E.他のカテゴリー以下の3つのカテゴリーのうち2つからの少なくとも1つの症状
  1. 「自律神経徴候」
    神経性に引き起こされた低血圧、姿勢起立性心頻拍症、遅延型起立性低血圧、心不整脈を伴うあるいは伴わない動悸、眩暈、バランス消失、息切れ、起立位で体位不安定
  2. 「神経内分泌系症状』
    熱感と四股冷感、微熱と著明な日周変動、発汗、暑さや寒さに対する耐性の低下、体重の著明な変化一食欲不振または異常な食欲、ストレスによる症状の悪化
  3. 「免疫性症状」
    インフルエンザ様症状の繰り返し、非滲出性咽頭炎またはイガイガ感、繰り返す熱発や発汗、リンパ節痛や腫脹(通常は軽度の腫脹)、食物・臭いあるいは化学物質に対する過敏性の新しい獲得。
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